人類が火星に行くというのは、SF映画や小説の話だと思っていた。
火星移住を実行
しかし、実際に火星移住計画というものを具体的に実現させようとしている人たちがいる。
ポン吉が聞いたことがあるのは、
マーズワンというオランダの団体とスペースX社を立ち上げたイーロン・マスクという人が火星移住計画を実現に向けて動き出しているそうだ。
マーズワンの計画では、
地球から火星へ行くロケットは、火星到着までしか使用できない。
つまり、火星から地球へ戻ってくることはできない、火星への片道切符方式だ。
火星に到着した人たちは、残りの人生を火星で過ごすことになる。
イーロン・マスクの計画では、
地球から火星に行くロケットは複数回利用することを考えている。
なので、火星から地球に戻る可能性を残している。
ただ、いずれの計画でも地球から火星に行くタイミングは、地球と火星が太陽の周りを回る公転軌道の関係から26ヶ月に1度しかないようだ。
だから、火星に着いたら次に地球からロケットが到着するのは26ヵ月後ということになる。
仮に、火星から地球に戻るロケットと燃料が手に入ったとしても、やはりそのタイミングは変わらない。
なので、火星への片道飛行であろうが、地球と火星間の往復飛行であろうが、いずれにしても26ヶ月は火星で地球からの追加支援なしで生活する必要がある。
しかも、太陽フレアの影響や地球での気象変動などでロケット打ち上げのタイミングを逸してしまうと、火星移住者たちはさらに26ヶ月待たなければならない。
移住志願者は一般人
今まで宇宙に行ったことがあるのは、
高度な知識や技能を持ち、決められたミッションを完遂して地球に帰還することを前提に、特別な訓練を受けた人たちが宇宙飛行士として任命されてきた。
しかし、ポン吉の知る限り、火星移住計画ではその志願者は一般人でも大丈夫のようだ。
もちろん病歴や犯罪歴などある程度のふるいにはかけるだろうが、
イーロン・マスクは40年から100年で100万人ほどを火星に移住させ、そこに自立した文明を築こうとしているので、今までの宇宙飛行士のように高度な知識を持った科学者だけではなく、アーテイストやコメディアンなどのエンターテインメント系の人たちも必要になってくると思われるので、移住者は多種多様な人になる。
移住前から貧富の差
火星に向かうロケットの客室にはスイートルームもあれば、エコノミークラスもあるというのをテレビで見たことがある。
もしそれが現実になってしまうと、火星に行く前から貧富の差が発生し、火星移住者たちはとてつもない格差社会で生きていくことになるだろう。
食料など物資を大量に持っている者と、配給に頼るしか手段がない者が初めから存在する社会。
当然、窃盗や略奪などの犯罪は横行する。
それを取り締まり、火星の秩序を保つために強力な警察が設立される。
それをコントロールするのは、生きるために必要な物資を大量に持っている一握りの富裕層ということになる。
火星移住計画は火星帝国建国の第一歩かもしれない。
もちろん大量の物資を火星に持ち込んだ富裕層の中には、無償で飢えた移住者たちに分け与える者も出てくると思われる。
それこそが、火星で最初の救世主誕生の瞬間だろう。
あと100年、残念ながらポン吉は事の次第を確認することはできそうにない。