専業主夫、ポン吉の徒然なるままに

20年近く主夫をしてきたポン吉の備忘録のようなブログ。

飛行機が苦手な人

ポン吉は高いところが嫌いだ。いわゆる高所恐怖症だ。

だから飛行機に乗ると、離着陸の時が一番不安になってしまう。

飛行中は高さを感じないくらい高いところにいるので、大きく揺れない限り怖さは感じない。

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飛行機が苦手な人

以前、飛行機に乗った時、ポン吉の座席の隣におばあさんが座っていた。

ポン吉が座席に座ると、そのおばあさんが話しかけてきた。

彼女は飛行機がとても苦手だそうだ。

しかし、今日はみんなと一緒に行動しているので仕方なく飛行機に乗ることになってしまったらしい。

どうやら、おばあさんは団体旅行の一員のようだ。

飛行機は通常通り、何の問題もなく離陸態勢に入った。

すると、おばあさんが手に数珠を握りしめて、聞こえないくらいの小さな声でお経を唱え始めた。

飛行機が離陸のために一気に加速し始めると、ポン吉も少し緊張したけれど、

すぐに飛行機は離陸してあっという間に雲の中に入って行った。

離陸時の揺れもおさまりポン吉の緊張はすぐに解けた。

気がつくとおばあさんも、数珠ではなくツアーの工程表のようなものを手に取って読んでいた。

ポン吉はリクライニングを倒して眠りについた。

予期せぬ出来事

客室乗務員が眠っているポン吉に、リクライニングシートをもとの位置に戻すように話しかけてきた。

着陸態勢に入るようだ。

ポン吉は離陸も着陸も緊張するけれど、どちらかというと離陸より着陸の方が、不安感は少ない。

やはり地面に着いてしまえば、後は何とかなるという安心感があるからだろう。

しかしその日は違った。

飛行機が降下中に激しく揺れていた。

ポン吉はかなり緊張していた。

隣のおばあさんもかなり不安だったようで、またもや数珠を握りしめてお経を小さな声で唱えていた。

機内から空港が見えたその瞬間、飛行機が大きく揺れた。

そしておばあさんのお経を唱える声が急に大きくなり始めた。

すると、他の乗客も一斉に手に数珠を持ってお経を唱え始めた。

どうやらおばあさんは宗教団体の一員で、ポン吉はその団体の中に座っていたのだ。

普段ならいくら緊張してても、それほど恐怖を感じないのだけれど、その時はポン吉の周りでみんなが助けを求めるようにお経を唱えていたので、何か一大事が起こるのではないかと不安感はマックスに近かった。

しかし飛行機はすぐに着陸した。

はずだった。

いつもならすぐに減速するはずなのに、その時は違った。

着陸したように思ったが、すぐにまたエンジンが大きくうなり加速が始まった。

そして機種が上を向き始めた。

エンジンの轟音が機内に響き渡り機体の振動が激しさを増すと、おばあさんたちのお経を唱える声も負けじと大音量になっていた。

ポン吉は周りのみんなが一心不乱にお経を唱えていることもあって、いつもとは違う何かが起こってしまったと恐怖を感じた。

着陸に失敗することなんて今まで一度もなかったのに、飛行機じゃなく新幹線でもよかったのに、一便あとの飛行機に乗るはずだったのに、子供はまだ小さいのに、‥‥。

いろんな思いが頭の中を駆け巡った。

タッチアンドゴー

お経の大合唱をかき分けて客室乗務員のアナウンスが聞こえてきた。

飛行機はまだ着陸しておらず、上空で旋回してもう一度着陸体勢を整えるために空港を離陸したそうだ。

しかし、すでにポン吉の隣のおばあさんは涙を流して無我夢中でお経を唱えていた。

客室乗務員のアナウンスは耳に入っていないようだ。

ポン吉は、涙ながらに一心不乱にお経を唱える人たちの集団の中にいて、その雰囲気はただならぬ状況だった。

飛行機は上空で大きく傾きながら旋回していた。

ポン吉は初めての経験でとても不安だった。

そして再度、飛行機は着陸体勢に入った。

飛行機が降下する音と風を切る音とお経の大合唱とでポン吉の恐怖心は最高潮に達した。

失敗しませんように。

気がつくとポン吉も何かに祈るように手を合わせていた。

そして大きな衝撃と共に飛行機は着陸し、すぐに急速に機体のスピードが落ちた。

無事に着陸できた。

ポン吉もおばあさんも大喜びだった。

みんなの願いは届いたようだ。

飛行機から降りて到着ロビーに着くと、おばあさんたちの一団が笑顔で誰かを取り囲んでいた。

よく見ると有名な大御所のお笑い芸人だった。

笑顔で芸能人に握手を求めるおばあさんたちの一団が、ついさっきまで涙ながらにお経を大合唱して緊迫した状況をより印象深くさせていた人たちだとは想像もつかない。

満面の笑みで握手にこたえているあの芸人さんは、機内でポン吉の座っていた周辺の異様さには気づいていないだろう。

と、思っていた。

しかし、

後日テレビを見ていたらその芸人さんが、その飛行機であった着陸のやり直しや搭乗客のお経の大合唱を面白おかしく話を膨らませてしゃべっていた。

あの緊迫した状況を早速笑いのネタにしているとは、さすが大御所だと感じさせられた。

ポン吉はあの状況を思い出すと未だに不安な気持ちが甦るというのに。

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